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企業法務 · ジェネラル カウンセルのための生成AI導入ガードレール

By: Geoffrey D. Ivnik, Esq. | Director of Large Markets, LexisNexis

企業の法務部門は、生成AI (Gen AI) 技術の採用がどうなるかを傍観して待っているわけではありません。当社がフォーチュン1000企業の企業法務部門幹部、および大手法律事務所のマネージングパートナーやその他シニアリーダーを対象として実施した直近の調査 ”LexisNexis2024 Investing in Legal Innovation Survey ” (英語) (*本記事末尾に日本語要約) によると、企業幹部のおよそ50%は、自社が現在法務に生成AIを使用していると回答し、32%は生成AI技術を活用するために専門家の雇用を増やす意向があると回答し、28%は生成AIツールのための専用予算があると報告しています。 

大手ハイテク企業でこの道を切り開いている企業内法務担当幹部は、AIの活用において倫理的配慮を中心に据えることで、AI技術の採用のための基礎固めを確実に行うよう、同業者に助言しています。 

「アマゾン・ウェブ・サービスの取締役兼アソシエート・ジェネラル・カウンセルを務めるジャスティン・グラッド氏は、企業幹部や法律事務所のマネージング・パートナーを対象とした最近のウォール・ストリート・ジャーナルのイベントで、次のように述べています。「これらの原則は最初は決まり文句のように思われるかもしれません、しかし、優先順位をつけ、倫理と安全性、セキュリティとプライバシー、透明性と説明可能性といった分野に重点を置きたいものです。アウトプットから遡って、なぜその技術がそのようなパフォーマンスをしたのか、十分に詳細に理解できるようにしたいものです」。 グラッド氏は、このようなガイドラインを作成し、棚に並べておくだけでは不十分であり、むしろ部門の文化に根付かせ、生成AIを日常的にどのように使用するかの倫理的枠組みとする必要があると指摘しました。 

ウォール・ストリート・ジャーナルのイベントのパネリストはまた、企業の法務担当幹部が、生成AIについて反復的な検討プロセスを実施し、大規模に導入された場合に「テクノロジーの不完全性」を受け入れることの重要性についても議論しました。 

オラクルのアシスタント・ジェネラル・カウンセルを務めるケビン・フマイ氏は、「AIは、継続的な改善と変化という終わりのない旅なのです」と述べています。 例えば、パネリストは、企業の法務部門向けのAIツールの開発やカスタマイズに、実務弁護士を参加させる必要性を強調しました。このような法務の専門家は、組織固有のニーズに対して最もインパクトのあるユースケースを、詳細なレベルで定義する上で極めて重要です。 

「もうひとつ重要だと思うのは、ハルシネーション(幻覚)を許容範囲内に管理することだ」とグラッド氏は述べ、「これらのテクノロジーの性質上、膨大なデータセットに基づいて推論を行うため、現在のテクノロジーの状態からすると、時として間違ってしまうこともある。このようなテクノロジーを大規模に、そして良い形で展開するのであれば、そのことに慣れる必要があります。」 と続けています。

より多くの生成AIツールが市場に出回るにつれ、企業内弁護士は、一般的な目的のモデルを追求するのか、より法務に特化した設計のモデルを追求するのかを決定する必要があります。 「モデルを選んだら、適切なガードレールを設置する必要があります。」 同氏は、企業法務における生成 AIツールの利用にとって重要なガードレールをいくつか挙げています: 

  • ツールを使用できる、または使用できないトピックの種類 
  • ツールが利用でき、信頼できるデータセット 
  • ツールのアクセスを許可されたユーザーに限定するサイバーセキュリティ・プロトコル 

この記事は、2024年1月31日にニューヨークで開催されたウォール・ストリート・ジャーナルのイベント「What Every Managing Partner & C-Suite Leader Needs to Know About Legal AI」でのパネルディスカッションの1つに基づいています。( 記事原文 )  

業界リーダーからのより多くの洞察については、セッション「Generative AI & The General Counsel Perspective」(英語) 全体をご覧ください。

LexisNexis リーガルイノベーション投資調査2024 (日本語要約)