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専門コンサルタントがわかりやすく解説!3月までに仕込んでおきたい2022年のコンプライアンス計画

企業のコンプライアンスは、今や社会的なコンセンサスともなっています。民間企業には利益の追求という目的がありますが、それと同時に、事業を通じて社会貢献を果たすことが求められます。そして、企業が利益追求と社会貢献を両立させるためには、自社内のコンプライアンス体制を確立させることが重要なのです。

レクシスネクシス・ジャパン株式会社では、日本の各企業が抱えるさまざまな重要課題について、会社幹部や管理者向けのウェビナーをテーマごとに開催しています。2022年1月には『3月までに仕込んでおきたい2022年のコンプライアンス計画』と題するウェビナーを開催しました。

講師はレクシスネクシス・ジャパン株式会社リサーチ&コンサルティング部の漆崎貴之シニアマネージャーと、同じく八島心平リードリサーチャーです。

両名とも、企業におけるコンプライアンスの本質に精通するエキスパートで、コンプライアンスに関するソリューションの企画・開発、サーベイ、コンサルティングを数多く経験してきました。それらの知見をもとに、今後企業がなすべきコンプライアンス計画の内容について詳細に解説しています。

今回は、同ウェビナーの内容を紹介します。

Ⅰ.今求められる企業コンプライアンスについて

第1章は、社会が要求する企業コンプライアンス体制についての解説です。コンプライアンス体制の構築における社会背景や、現在企業が直面しているコンプライアンス体制の課題点を、レクシスネクシス・ジャパン株式会社リサーチ&コンサルティング部の経験をもとに、「Q&A方式」にて浮き彫りにしています。

コンプライアンス体制の構築が求められる背景とは?

近年、コンプライアンス体制を構築していたはずの企業による不祥事が相次いで起きています。代表的なものが、充実したコンプライアンス制度で有名だったY社による「不正会計問題」です。これによって、同社のコンプライアンス制度が実際は形骸化していたことが明るみとなりました。

さらに、日頃から不祥事防止に努めていることを宣言していたX社が、コンプライアンス活動と並行してデータ改ざん行為を行っていたことが発覚する事件も起きています。

これらの事例を反面教師として「コンプライアンス専門部署の設置」「制度やルールの作成・運用」「各種研修の実施」などコンプライアンス活動の充実を推進することが各企業に求められており、経営陣はこれらを重要な経営課題と認識せねばなりません。

Q : 実際の現場の声として、最近の企業の皆さまは、どのような課題を抱えていますか?/どのような対策等をとられている傾向にありますか?

企業の多くは「法令、会社の行動規範」「ルールの順守体制構築」「周知のための社員教育」などに加えて、最近では「ESG対応等の影響によるリスク・マネジメント関連業務」関連などの問題が山積しています。

この傾向から、多くの企業が抱える課題として、

  • 何から着手すべきか分からない
  • 研修自体が目的化している

という2点が挙げられるでしょう。

Q : R&C(リサーチ&コンサルティング部)には、どのようなご依頼が来るのでしょうか?

企業からの依頼の多くは「ルール順守のためのインフラ整備」「人材の底上げのための教育活動」「全体的な効果検証と分析」などです。そしてこれらの効果検証には「コンプライアンス・サーベイ(従業員意識調査)」、教育活動には「オンライン研修・eラーニング」が有効といえるでしょう。

Ⅱ.コンプライアンス計画のシナリオとは?

確固としたコンプライアンス体制を構築し、それを有効に運用していくには、最初に綿密な計画立案と、作業を進めるための万全なシナリオ作成が必要です。第2章では、コンプライアンス計画のシナリオ作りについて解説しています。

Q : コンプライアンス担当部署/担当者は、自社のコンプライアンス・リスクに対する施策(コンプライアンス計画)について、どのようなことを考えれば良いのでしょうか?

コンプライアンス計画の年間スケジュールが設定されている場合には、以下の事項を時系列に計画していくことが大切です。

  • 自社役員と従業員に周知させる情報を研修までに決めること。
  • 社内のルール変更のスケジュールと周知期間を設けること。

コンプライアンス計画の年間スケジュールが設定されていない場合には、以下のようなリスクベースでの計画立案が理想です。

  • 自社の事業分野に関わる法規制の調査
  • 海外進出時に域外適用がある法分野へのグローバル対応
  • 各事業現場からのリスク事象への対応

これらの重点項目のために必要な対応策を考慮することが求められます。

Q : 会社の規模に合わせたアプローチ方法の違いなどはあるのでしょうか?

リスクベースで優先順位を決めて進めていくアプローチ方法は会社規模の大小による相違点はありません。ただし、例えば現場の従業員が多人数でコンプライアンス担当者は1人という小規模な会社は、教育からルール整備までの計画実行に日数を要します。

このようなケースでは、長めのスパンで計画を立て複数年で実施する工夫が必要です。

Q : コンプライアンス計画の中でも、まず実施するべき「施策」について、もう少し詳しく教えてください。

まず「人事労務」「情報セキュリティ」などのカテゴリーを分類し、重要度が高い順に会社全体の「リスクマップ」を作成します。次に、現実に問題が発生したと仮定した場合のインパクトを評価します。そして、リスクの大小に適した対策の優先度を決めていきます。

Q : コンプライアンス・リスクマップを作成したら、次はどのようなアクションを検討すれば良いのでしょうか?

実効的アクションには「不明確な社内ルールの改善」「社内ルール徹底のための教育活動」「コンプライアンス・サーベイ(従業員意識調査)」などが挙げられます。部署・社員階層ごとの対策を目的とするアクションとしては、はじめに従業員の実態把握コンプライアンス・サーベイイイ有効です。

リスクの優先順位と施策の実施期間を決め、定期的に進捗を確認し、適宜軌道修正するというコンプライアンス活動のPDCA サイクル(計画・実行・評価・改善)を運用します。

Ⅲ.コンプライアンス・サーベイ(従業員意識調査)と3月までに整えたい準備

第3章は、コンプライアンス・サーベイ(従業員意識調査)のための重要項目について解説しています。2022年度のコンプライアンス計画を実施したい場合であれば、新年度スタートの前月である2022年3月までに整備しておきたい内容です。

Q : コンプライアンス・サーベイとは、具体的にはどのようなアクションを行えば良いのでしょうか?

サーベイ施策は、部署横断的なプロジェクトであることを認識することが前提です。コンプライアンス・サーベイには「現状把握」と「想定リスクの検証」という2通りの目的があるので、まず目的を明確化することが前提です。目的の明確化により、報告(評価)が異なってきます。

目的に応じた具体的アクションとしては「調査区分」「設問」の2つの要素があり、それぞれ、調査対象の社員と設問による把握内容を事前に決めておきます。

Q : コンプライアンス・サーベイの注意点や、成功させる為のポイントなどを教えてください。

コンプライアンス・サーベイを成功させるには「目的とゴールの設定」と、それに適した「分析軸」の選定が重要ポイントです。

分析軸には「インテグリティ(清廉さ)」 「心理的安全性」「不正のトライアングル(動機・機会・正当化)」の3要素からなる「コンプライアンス感度」の縦軸があります。

また同時に「グループ行動規範」「情報セキュリティ」「独禁・贈賄」「ハラスメント」「横領・不正・AML (アンチ・マネー・ローンダリング防止対策)」の5要素からなる「内部ルールの理解」が横軸となります。

縦軸横軸で構成される分析軸をグラフ化し、リスクマッピングを実行するのがレクシスネクシス・ジャパンの手法です。

Q : コンプライアンス・サーベイの設問について教えてください。

各項目別の設問例を以下に紹介します。なお、設問の分量は50~70問程度の設定が一般的です。

〇 コンプライアンス感度(行動特性を見る縦軸)の一例

  • インテグリティ:同僚と上司のビジネス判断が異なる場合には上司の判断に従う。
  • 心理的安全性:自分の職場は、仕事上のミスを上司や周囲に共有しにくいと思う。
  • 不正の動機:自分の職場は、法令や社内ルールより自分の判断を優先する人が多い。
  • 不正の機会:法令等の社会的ルールに抵触しても顧客の利益になれば良いと思う。
  • 不正の正当化:ミスそのものよりもミスの隠ぺいの方が罪深いと思う。

〇 内部ルールの理解(企業固有のルールの理解度を見る横軸)の一例

  • 会社の情報管理:効率的作業のため、業務ファイルを私用のクラウドなどに保存する。
  • 労働安全体制:慣れている業務には、できるだけ時間をかけないようにしている。
  • 不正競争防止:業務委託により得た他社の情報は自社の研究開発に転用する。
  • 贈賄防止:第三者間との接待・贈答・収受は、業務円滑化のために必要。

ワンストップ・コンプライアンスソリューション”LexisNexis ASONE”について

レクシスネクシス・ジャパン株式会社では、コンプライアンス遵守のためのワンストップ・プラットフォームとして”LexisNexis ASONE(レクシスネクシス アズワン)”を提供しています。ASONEのプラットフォームは、以下の5項目のモジュールで構成されています。

  1. 法政策情報
    • 法規制情報を網羅的に収録
    • 1,700以上の自治体の全ての条例
    • 必要な情報だけをアラート配信
    • 専門家の解説で法規制内容をキャッチアップ
  2. ワークフロー
    • 業務別1,200以上のチェックシート
    • コンプライアンス・リスクをダッシュボード機能で可視化
    • 様々なニーズに対応するカスタマイズ
  3. 業務規程コネクト
    • 社内規定と法令の関連付け
    • 社内規定の電子化と管理
    • 法改正に連動したメンテナンス
  4. コンサルティング
    • コンプライアンス・サーベイ
    • 自社の法令チェックリスト等をカスタマイズ
    • リスクに合わせた研修やeラーニング
  5. エデュケーション
  • 法務・コンプライアンス学習の為のセミナー動画/解説記事も収録

なお、ASONEは活用シーンに合わせて単体でもパッケージでも利用可能です。 本記事でご紹介したコンプライアンス・サーベイなど、企業ごとのコンプライアンス対策については、上記のASONEコンサルティングのサービスとなります。

まとめ

社内のコンプライアンス体制を有効に運用するためには、コンプライアンス体制構築の前段階として、コンプライアンス・サーベイの導入が不可欠といえるでしょう。本記事で紹介したように、レクシスネクシス・ジャパン株式会社では、数多くの企業に対するコンプライアンス関連のリサーチ&コンサルティング業務を通じて得たノウハウを有しています。

2022年度から本格的なコンプライアンス体制の構築を検討されている企業の法務部担当者にとって、レクシスネクシス・ジャパン株式会社のシステムは、理想に近い体制構築のための有効なサポートとなることでしょう。なお、当ウェビナーや”LexisNexis ASONE”についての詳細やご質問、お問合せ等はレクシスネクシス・ジャパン株式会社までお気軽にお問合せください。

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